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Essay 異邦人の想いで  心の病  母の香り   光
Essay 異邦人の想いで  心の病  母の香り   光   ローザンジェラの祖父母は、父方も母方も長崎出身で、外国人の血が流れているということであった。だからローザンジェラは日本人ばなれした容姿で、東洋系ではなく白人系の感じ。しかし、キレイな黒髪である。  縁があって東京出身のオオタと恋仲になり、結婚。  オオタは日本の巨大商社の社員だった。ローザンジェラと結婚して間もなく、辞めてしまう。オオタは輸出会社を立ち上げた。アマゾン産のめずらしい花卉類、主にランの花を日本向けに輸出する会社だ。 ブラジル生まれの日系三世ローザンジェラが、オオタの設立し... ...続きを見る

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2008/09/27 08:56
Essay 異邦人の想いで 心の病 詐欺師    光
Essay 異邦人の想いで 心の病 詐欺師    光   ピニェイロス市ピニェイロス大通りにある、大きなデパートの中にエンリッケ シモダは小さなブースを借りて、貴金属店を経営していた。店には二人の女従業員がいて、商売はそこそこに繁盛していた。エンリッケの店からわたしのリベルダーデ地区にある、レストランまでは遠い。レストラン特製若鶏の丸焼きが気に入り、昼食時間を少しはずして食べにくる。  エンリッケは四十を超えていた。スラリとして背が高く、いい男。独身なのに年頃の娘が二人いた。同棲していた女が、二人の娘を置いていったのだという。  二人の娘はま... ...続きを見る

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2008/09/20 20:51
Essay 異邦人の想いで 心の病  明日咲く花     光
Essay 異邦人の想いで 心の病  明日咲く花     光   アケミとシンタロウ、仲のいい夫婦である。二人でスーパーを経営していた。子供は女の子が二人、中学生。ブラジルの少女は発育が早い。乳房も一人前に張って、母のアケミをしのぐ立派な女性になりつつあった。二人の娘たちは、テレビのドラマに夢中で、勉強に熱心ではない。  母親のアケミの怒声が飛ぶことがあり、  「あんたたち二人、勉強しなかったら落第するよ。落第したら母さんは学校へ行かせないからね。父さんのスーパーではたらいてもらう。オドシじゃないのよ」  母親の声に二人の娘は、しぶしぶと勉強をする... ...続きを見る

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2008/09/13 22:58
Essay 異邦人の想いで 心の病 オクムラの場合   光
Essay 異邦人の想いで 心の病 オクムラの場合   光   養鶏事業の失敗で、姿が消えたオタビオ オクムラと一年すぎに、意外な場所で再開した。ビラマリアーナ区にあるHospital trez Anjos(トレスアンジョス病院)の待合室。知人の母親が入院しているので、見舞いに行ったときに再開したのである。  見舞が終わって、帰りがけに待合室を通る。さっきも通ったのだが、人がこみ合っていて、だれがいるのか気にかけなかった。いまは、人がまばら。待合室に隣接して喫煙室がある。頭が角刈りで白い医師服を着た、若いチョビ髭の日系人がタバコをふかしているのを... ...続きを見る

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2008/09/07 08:32
Essay 異邦人の想いで トリ インフルエンザ   光
Essay 異邦人の想いで トリ インフルエンザ   光  オクムラはパラナ州出身。サンパウロのディアデマ市郊外の山の中に、養鶏場をつくった。ディアデマ市長とも懇意にしている間柄なので、安い土地を周旋してもらう。タダ同然の値段だったとオクムラ。  あまり風采の上がらない男なのに、オクムラはどこで資金を調達するのか、規模の大きい養鶏場を経営しはじめる。  養鶏場が作られた場所は、起伏がはげしく小川が何本か敷地内を流れていた。  ブラジルの川は、ほとんど蛇行している。蛇行したカーブの部分には、たいてい淵ができ池のような広がりを見せる。池の部分は水... ...続きを見る

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2008/08/31 07:29
Essay 異邦人の想いで 心の病 コタローの場合   光
Essay 異邦人の想いで 心の病 コタローの場合   光   メガロポリス、サンパウロには、週に一日、朝方に市場が開かれる街路がある。  リベルダーデ地区にも、月曜はサンジョアキン通り、水曜はタマンダレー街、日曜日はリベルダーデ広場、というぐあいだ。街路の一部を閉鎖して、市場が立つ。市場で主に売られているものは、野菜、果物、肉、魚、酪農製品、雑貨、軽食を売る屋台などで占められていた。街にすむ人々は、小さなカートを引きずりながら、Feira(フェイラ、市場)へ出むく。新鮮で安い日用品が得られるのである。  タマンダレー街の市場で、野菜と卵の屋台を経... ...続きを見る

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2008/08/24 08:44
Essay 異邦人の想いで  心の病、ジョゼーの場合   光
Essay 異邦人の想いで  心の病、ジョゼーの場合   光   毎月の、第一週目の火曜日か水曜日に、双子のようにそっくりで上品な老婦人たちが、わたしのレストランへ昼食にくる。レストラン自慢のMacarronada de frango(マカロナーダ・デ・フランゴ、若鶏モモ肉、胸肉のパスタ)が、婦人たちのお気に入り。このマカロナーダは好評なので、たいてい婦人たちがくるおそい時間には、売り切れてしまっている。しかし、ミナス州ベロオリゾンテ市からくる、遠来のお客さん。二人のマカロナーダは、取っておくようにコックに命じてある。かくて、婦人たちは、ぶじに料理を口に... ...続きを見る

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2008/08/17 08:11
Essay 異邦人の想いで バラの幻想    光
Essay 異邦人の想いで バラの幻想    光   その男、目が大きく髪が赤毛でチリチリ。小太りで白人系なのに、肌色がわるかった。わたしのレストランへ、いつも一人でやってくる無口で気のよわそうな三十代の男。  わたしの知人のノムラが、その男と親しかった。名前はパウロ カーロス。  パウロは、一世を風靡した、ロベルト カーロス歌手と同時代に活躍したロック歌手だという。どこから見ても風采が今一つなのに、華やかなロック歌手?  パウロは現役で、アウグスタ街にある、小さなナイトクラブの専属歌手。  ノムラは、パウロはまだまだ伸びていく... ...続きを見る

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2008/08/10 07:41
Essay異邦人の想いで 赤貧(せきひん)に死す    光
Essay異邦人の想いで 赤貧(せきひん)に死す    光   大寒波が四日前に来て、天候は小康状態がつづいていた。またまた夕方から冷えこみ、朝にかけて霜がおりる、と気象予報がテレビから流れる。四日前の寒波は、北上をつづけてアマゾン地域にまで達し、赤道直下なのに気温は十度にまで下がったという。明日の朝に、霜害のニュースがまた、にぎわすだろう。こんどはどれほどの被害を、作物やコーヒーに与えたものやら。  そしてサンパウロ市内に住む、膨大なホームレスの人々。四日前には、凍死者数十人とニュースでは流れていた。ホームレスは、ほとんどが薄着で路上へ寝る。と... ...続きを見る

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2008/08/03 07:53
Essay 異邦人の想いで 占い師ジョアナ   光
Essay 異邦人の想いで 占い師ジョアナ   光   仮死状態で脳の言語領域を損傷した、ツル次郎さんは、わたしと日本語を話すことによって、ポルトガル語も回復してきた感じだった。少し舌がもつれるが、ポルトガル語を話すようになる。  このころは気候があたたかい。コーヒーの豊作がつづき、市場にダブつきはじめたのだ。  近年ブラジルも工業が発達してきたが、それでもコーヒーは重要な主力輸出品。ダブついたコーヒーのはけ口がなく、サンパウロ証券市場のコーヒー株価は、続落。  ツル次郎さんは、コーヒー株が安値の今が、買い時だとしきりにすすめる。そのくせ... ...続きを見る

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2008/07/27 13:16
Essay異邦人の想いで GMystery「ツル太郎、ツル次郎」    光
Essay異邦人の想いで GMystery「ツル太郎、ツル次郎」    光   わたしはときどき、株を買う。シロウトなので、さまざまのことを参考にして、ソンをしないように買うのだが、あまりパッとしない。  サンパウロの中心街にあるサンベント通り。その通りに日系人たちに人気があるSN証券会社があった。わたしは、よくよくその証券会社を訪れる。広いロビーには、何台もの大型テレビが置かれていた。サンパウロの株式市況速報が、刻一刻として流れている。市況速報を見ながら、広いロビーにあつまっている四、五十人の、日系人の投資家の人々が声をあげている。日本語、ポルトガル語がロビー... ...続きを見る

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2008/07/20 07:40
Essay 異邦人の想いでMysteryFStrange flash(怪光) 光
Essay 異邦人の想いでMysteryFStrange flash(怪光) 光  わたしがまだ二十歳代の紅顔(厚顔ではないっ!)の青年のころ、ブラジルとパラグアイの国境の町ポンタポランへ向かった。知人が格安のコーヒー園がある、というので、ようすを見にサンパウロから出かけたのだ。売り出し中の物件は、パラグアイ側にあった。  ポンタポランはマットグロッソ・ド・スール州のイナカ町。町の真ん中を広い一本の道路が通っていて、むこう側がパラグアイ、ペドロファン・カバリェイロの町。  わたしはペドロファンの町でペンソン(ペンション、安ホテル)を見つけ、宿泊する。パラグアイの町なのに、... ...続きを見る

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2008/07/13 12:39
Essay 異邦人の想いで MysteryE Mirage(miragem、蜃気楼)   光
Essay 異邦人の想いで MysteryE Mirage(miragem、蜃気楼)   光  ベルナルディーノ爺さんは、むかしペルナンブーコ州沖合で漁をしていた。ブラジル東北地方の貧しい漁師たちが使う、ジャンガーダという巨大なイカダに帆をはった、原始的な漁船の持ち主でもあった。ジイさんは、五十を超えていた。小柄で頭が真っ白。しかし、漁師をやっていたせいか、筋肉のカタマリのたくましい体をしていた。  ベルナルディーノ爺さんは、モレーノ(黒人系男性)だが、肌は黒光りするような黒い肌。家には二十歳ぐらいの、かわいらしいモレーナ(黒人系女性)のカミサンがいる。もう歳なので種がなく、子供ができ... ...続きを見る

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2008/07/06 09:12
Essay 異邦人の想いでMysteryD「時を駆ける少女ルシア」  光
Essay 異邦人の想いでMysteryD「時を駆ける少女ルシア」  光  タカハシ ジョルジは、マッケンジー工大を出た建築技師。色白で背の高い男。父親がドイツ系人で、母親は長崎生まれの日系人。だからジョルジは日系人。顔立ちは母の血をつよくひいて日本人だが、体はドイツ系人の父親の血をひいてゴツイ。なにかアンバランスな感じの日系人だ。ジョルジはときどき、わたしのレストランへ食事にくる。  わたしはジョルジと親しい。レストランの大修理で、技師のジョルジに骨を折ってもらった。  ジョルジは、よくよく、食事の後に厨房へ入りこんで、わたしと世間話をする。見かけのとりつきにく... ...続きを見る

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2008/06/28 14:22
Essay 孤独の死。弟よ。     光
Essay 孤独の死。弟よ。     光  本年、六月十三日金曜日。朝方、わたしは一本の電話を受けとった。  わたしは電話が鳴っても、すぐにはでない。ちかごろ、いかがわしい電話がおおく、手を焼いていたのだ。だから放っておいて、留守番電話へ用件を話してもらうことにしていた。いつもの調子で、電話に出ないでいたら、留守電に、  「こちらは神奈川、大磯署刑事課のコンドウともうします。弟のタカミツさんが亡くなられたので、お知らせします。ついてはタカミツさんのことで、お訊ねしたいことがあります。至急、当刑事課あてに、連絡電話をおねがいします」... ...続きを見る

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2008/06/15 12:10
Essay 異邦人の想いで  MysteryC 「Sea Monster」  光
Essay 異邦人の想いで  MysteryC 「Sea Monster」  光  サンパウロ北部地区、カーザベルデは緑の多い町。そしてバイア州出身の人が多く住む町でもあった。その町の路地裏に、バイアーノ(バイア州人、バイア野郎)のフェリペは、小さな板金屋を経営している。けっこう繁盛していていた。  フェリッペの板金工場兼住居へ、二か月ほど前に拳銃強盗が押し入った。犯人は三人のモレーノ(黒人系男)。フェリッペは護身用、大型コルトを所持していた。三人の強盗たちと射撃戦となったが、多勢に無勢。フェリッペは、肺に貫通銃創、足にも強盗たちの弾をくらって、瀕死の重傷。かけつけた警官隊... ...続きを見る

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2008/06/07 15:50
Essay異邦人の想いでMysteryB Twilight road     光
Essay異邦人の想いでMysteryB Twilight road       光  ジョゼーはモレーノ(黒人系男子)。あだ名はゼー・ペルナンブーコ(ペルナンブーコ野郎)。職業は日本でいえば暴力団やヤクザ。精悍な面構えの三十五歳。若ハゲで頭はツルツルにソリ上げたような感じだった。ゼーはユスリ、タカリ、詐欺、強盗と考えられるあらゆる悪の元締め。  そんな不良のゼーだが、日系人医師マコトとは、幼なじみであった。  ゼーが生まれたのは、ブラジル北部ペルナンブーコ州。州都レシーフェ郊外で生まれた。美しい港を持つレシーフェは、いにしえのポルトガル帝政時代に、本国ポルトガルから、うつり... ...続きを見る

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2008/06/01 13:21
Essay異邦人の想いで MysteryA Strange House 光
Essay異邦人の想いで MysteryA Strange House    光  ナカヤマは日本では自衛隊に入っていた。除隊後は町の洋食レストランを経営する。そのレストランを閉めて、ブラジルへやってきたのだ。  ナカヤマは、二、三ヵ月わたしのレストランで、ブラジルのようすを見るために、厨房の手伝いをすることになった。残念ながらナカヤマの、コックとしての腕は大したことはなかった。店に来る客やコック連中に、ナカヤマの料理を試食させたが、不評だった。  ナカヤマは自信たっぷり。自分の料理は、日本では評判が良かったと、ぎゃくにこちらの味覚ぶりをうたがう。  ナカヤマは、ヒマを... ...続きを見る

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2008/05/25 09:10
essay異邦人の想いで Mystery@ マリコさん   光
essay異邦人の想いで Mystery@ マリコさん   光  マリコさん。六十近い日系人の、いいおばさん。毎朝、食事前にお経をあげる。小さい時からの習慣であった。お経をあげるのだが、カトリックも信じているところがある。  ブラジルは百パーセントにちかい、カトリックの国。カトリック以外の宗教は、異端視される。それに朝からテレビでは、カトリック関係のニュースしか流れない。ながく住んでいると、つよく影響されるのだ。  マリコさんが、信じているのは占星術。カトリックとヨーロッパのジプシーの占いが、ミックスされたモノといわれている。  マリコさんの主星座はG... ...続きを見る

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2008/05/18 22:03
Essay 異邦人の想いで  母の日のプレゼント     光
Essay 異邦人の想いで  母の日のプレゼント     光  ソメカさんは、夫が亡くなるとすぐに、大農園を処分して二人の息子たちに財産分けをした。二人の息子たちは、町の開業医として独立していた。  息子たちは早くから家をでていて、ソメカさんとは暮らしていない。  息子たちが、特に母親をきらったのは、ソメカさんの思いこみのはげしい性格。広大な農園を一人で切り盛りしたのだから、とうぜん、気性もはげしくなったのだが。とにかく、ソメカさんは、人の言葉に耳をかさない。意志も曲げない。  ソメカさんが、財産分けをした目的は、かねてからの夢であった、女投資家の道... ...続きを見る

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2008/05/11 09:41

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