poet-poet

アクセスカウンタ

help RSS Essay 異邦人の想いで (柔らかい話し)カーニバル・・マチルダ    光

<<   作成日時 : 2007/02/03 02:04   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 3

画像


 マチルダは二十歳。二人の子供がいて、ある金持ちの家のお手伝いさん。二月が近くなると、マチルダは落ちつかなくなる。カルナバール(カーニバル)の踊(おど)りの練習があるからだ。彼女は何百人もいる踊(おど)り子のうちの一人。ビラ・レオポルデイーナの小さな公園で、ニ、三十人ぐらい一組で、エスコーラ・デ・サンバという祭りの踊りの練習をする。なにしろ一チームが千人ちかい仮装(かそう)した踊り子の集団(しゅうだん)。練習には地区地区が少人数でおこない、本番で統合(とうごう)して、テレビに映(うつ)るような、華麗(かれい)な踊り子の大集団のシーンが展開(てんかい)するのである。
 踊り子たちが踊りながら歌う歌は、サンバとよばれる行進曲風の歌。サンバは、ブラジルが奴隷(どれい)をアフリカから導入(どうにゅう)したときに、つれてこられた黒人たちが故郷からもってきた歌だといわれている。歌に奴隷(どれい)にされた悲哀(ひあい)をこめたものらしい。現代は、踊りやすい行進曲風の歌が多い。切々として悲しみをうったえる、スローテンポのサンバもある。もっとも、歌詞(かし)は様変(さまがわ)りしていて、現代では男女の痴話(ちわ)ケンカや、恋のやりとりを主題にしている。もし、日本語に訳したら、なんだこの歌詞はくだらねえ、と思われるかもしれない。
 カーニバルは夜中から朝方まで、街路を封鎖(ふうさ)し、派手な仮装をした踊り子たちが練(ね)り歩くことからはじまる。行進のときに打ち鳴らされる数百の大太鼓(おおだいこ)の音は、とどろきわたり、建物がビリビリと振動(しんどう)するほど。
 ところで、踊り子たちのサンバの踊りは、ズバリ、セックスを表現(ひょうげん)した大胆(だいたん)なもの。老若男女は統一(とういつ))された派手な仮装に身をつつみ、汗(あせ)みずくになって踊るのだった。
 よく目にするのはモレーナ(黒人系女)の集団。仮装も過激(かげき)で、肉体の露出度(ろしゅつど)はオッパイ丸出しはもう定番(ていばん)。それどころか、女性の大事な部分を丸出(まるだ)しにしている、妙齢(みょうれい)のモレーナもいるぐらいだ。独身日本人青年のわたしは、間近でモレーナの秘所(ひしょ)を拝見(はいけん)できる栄誉(えいよ)に、なんど浴(よく)したことか。鼻血ブーどころのさわぎではない。

 その年、カーニバルでは、マチルダが練(ね)り歩くチームを見ることができた。
 夜半に耳を聾(ろう)する大太鼓の合奏(がっそう)で踊りの行進がはじまる。わたしは行列が目の前を通る歩道で待ちかまえる。ロープで規制(きせい)されていたが、カメラをかまえたわたしは、最前列にいても何もいわれなかった。新聞社のカメラマンとまちがわれたのか。
 だんだんと時間がたち、マチルダのチームの踊り子たちがせまってきた。上半身は白いダチョウの羽飾り(はねかざり)のついた仮装(かそう)で、下半身は白いもうしわけ程度(ていど)のミニスカート。その一群(いちぐん)のモレーナたちが、はげしく扇情的(せんじょうてき)に踊りながら、いよいよ間近に見えてきた。スラリとのびた足をおしげもなく衆人環視(しゅうじんかんし)の下にさらし、ミニスカートの下の黒いパンツが、ターンするたびにモロに見える。
 モレーナたちが、スカートをひるがえすたびに、観衆(かんしゅう)のどよめきが高かった。
 その理由が判明(はんめい)する。モレーナたちのスカートの下のパンツは、黒いペイントでそれらしく塗(ぬ)ったもの。彼女たちは「女性」を、公(おおやけ)の場でおしげもなく見せている。わたしは写真を撮(と)るのもわすれて、ぼうぜんとして見ていた。
 やがて、目の前がモレーナの踊り子集団で埋(う)めつくされる。
 わたしは気をとりなおし、マチルダがいるはず、と目をはわせる。おなじような顔で見分けがつかなかった。モレーナたちは腰をくねらせ、扇情的(せんじょうてき)に踊りくるう。彼女たちの「女性」がどうなっているのか、公(おおやけ)にしらべられるチャンス。なのに、日本男児は怖気(おじけ)づいて逃げようとしたほどの、はくりょくがあった。
 そのうちに五、六人のモレーナの集団が、カメラを持っているわたしに気づいた。撮(と)ってくれとサイソクするように、とどまって踊りはじめる。よく見ると、その中にマチルダがいた。ギラギラした目、笑っているのか歌っているのか分からない顔。わたしはあわててカメラをかまえ、シャッターを切る。写(うつ)っているのかどうか、そんなことは頭にはない。でも、さすがに男の子、マチルダをふくめたモレーナたちの秘所(ひしょ)を、しっかりと拝見(はいけん)していた。
 ウーン。モレーナたちのアソコはなやましく、これを何といえばいいのだろうか。
  197x年x月サンパウロにて   光

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
カーニバルテーマの周辺散策
 知る人は知っているし、そんなの常識ということなのだろうが、「浅草サンバカーニバ ...続きを見る
無精庵サンバ館
2007/09/30 13:58

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
初めてのコメントです。
JAMさんの多事総論から、ジャンプしました。
カーニバルのお話の迫力に、女性の私でさえ〜「鼻血ブー.。o○」になりそうでしたよ!
でも、経験できないお話をリアルに再現してくださって、共に楽しむことが出来ました。「有難う♪」
つんちゃん
2007/02/05 23:11
サークル参加、ありがとうございます。(遅くなりましたが^^;)
リオのカーニバルとよく聞きますね。一度は見てみたいです。
温泉地でしか見たことが無いです。それも少人数!

体臭がすごかった記憶だけが残っています^^;
行ってみたい国の一つですよ。

One
2007/02/08 10:18
こんにちは、はじめまして!
カーニバルはテレビのニュースで見る情報しか知りませんでした。
生の情報はすごいです!
これからもよろしくお願いします。
芙実のパパ
2007/02/08 21:10

コメントする help

ニックネーム
本 文
Essay 異邦人の想いで (柔らかい話し)カーニバル・・マチルダ    光 poet-poet/BIGLOBEウェブリブログ